恐山
地獄めぐりとか石積みの塔とかカラフルな風車とか…。しかも硫黄臭も漂っていて青森の恐山は半端ないって!
本州の北の果て青森県むつ市がある下北半島には、約1200年前に開山した死者の魂が集まる霊場「恐山(おそれざん)」があります。「恐山」という単独の山はなく、宇曽利山湖(うそりやまこ)とその湖を取り囲む8つの山々の総称です。
仏教では、死者の魂は三途川(さんずのかわ)を渡って「あの世」と呼ばれる死後の世界へ向かうとされています。恐山には「三途川」「地獄」「極楽」などの名前がついた場所があって、さらに恐山一帯は硫黄臭が立ち込んでいるので、「死後の世界」さながらの雰囲気と風景が広がっています。
三途川に架かる赤い太鼓橋が恐山の入口です。三途川は、古くから現実の世界と死後の世界の境界にある伝説の川と考えられていて、善人は橋を渡ることができますが、悪人は橋を渡ることができず、自力で川を渡らなければならないとされています。
恐山では宇曽利山湖から流れる正津川(しょうづがわ)を三途川と呼んでいます。
宇曽利山湖の周辺には「賽の河原」と呼ばれる場所があります。「賽の河原」では、親孝行もできずに親より先に死んでしまった子供たちが、詫びながら石積みしています。石積みが完成すると子供たちは解放されるのですが、完成間際になると鬼がやって来て崩してしまうので、石積みは永遠に続くとされています。
恐山には温泉が湧いています。全部で4つの湯小屋があって入山料を支払えば無料で入浴できます。すべて源泉かけ流しの100%天然温泉です。
山門を入ってすぐ3つの湯小屋が見えますが、残りの1つは山門を入って右手奥に行った宿坊の裏手にあって、参拝順路からも外れているので少し分かりづらいかもしれません。
もともと湯小屋は参拝する前に身を清めるためにお湯を浴びる施設で、昔は全員入浴していたそうです。
恐山の外れにある湯小屋は混浴風呂です。
恐山といえば、「イタコの口寄せ」が有名です。イタコと呼ばれる盲目の巫女(霊能者)が、先祖や身内、親しい友人など、死んだ人の声を遺された家族などに伝えるのが役割です。イタコは恐山に常駐していませんが、毎年7月20日から7月24日に行われる「恐山例大祭」と毎年10月上旬の3連休に行われる「秋詣り」にイタコが入山します。昔は300人もいたイタコも最近は10人もいません。
宇曽利山湖の湖畔にある白い砂浜が「極楽浜」です。「賽の河原」を越えてさらに進むと極楽があるというロケーションです。湖が異常に透明なのは、水に火山ガスが溶け込んで酸性値が高いからです。ほとんど生き物が棲んでいない湖です。
恐山までのアクセス
JR東京駅からJR八戸駅まで東北新幹線で約3時間。 JR八戸駅で青い森鉄道線に乗り換え、青い森鉄道・野辺地駅まで約1時間。青い森鉄道・野辺地駅でJR大湊線に乗り換え、JR下北駅まで約1時間。JR下北駅下車、JR下北駅から恐山まで路線バスで約40分。
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