日本最古の『浦島伝説』が伝わる京都・伊根町の浦嶋神社の近くには、浦島太郎が龍宮城から戻って来たという小さな洞穴が残っています。
宇良(うら)神社は、京都府伊根町に鎮座する神社です。別名は浦嶋神社と呼ばれ、神社の由緒には、日本人なら誰でもが知っている御伽話『浦島太郎』の原話(『浦嶋子伝説』)が伝わっています。祭神は浦島太郎(浦嶋子)が祀られていて、9世紀はじめ、『浦嶋子伝説』の話を耳にした第53代・淳和天皇から「筒川大明神」の神号が贈られました。伊根の舟屋がある伊根湾から車で北上して約20分のところに鎮座しています。
8世紀のはじめに編纂された『日本書記』『丹後国風土記』などには、『浦嶋子伝説』が記述されていて、第21代・雄略天皇の頃の話と伝えられています。
『浦嶋子伝説』によれば、日置(ひおき)郷の筒川村に、浦嶋子という容姿端麗な好青年が暮らしていました。ある日、浦嶋子は、ひとりで舟に乗って海に出ると、三日三晩後に五色の亀を釣り上げました。
浦嶋子が舟でうたた寝をしている間に、その亀は美女(亀姫)に変身しました。大海原で突然現れた亀姫を不信がる浦嶋子に、亀姫は「天上界の仙家」の者で「浦嶋子と話がしたいので来ました」と伝えました。浦嶋子は、亀姫が神女であることが分かって、 恐れ疑う心も鎮まりました。そして、誘われるままに浦嶋子は亀姫が暮らしている蓬莱(蓬莱山/常世の国)へ向かいました。蓬莱(ほうらい)とは、古代中国で東の海(海底)に仙人が住むと伝えられた聖地の一つ。
蓬山(とこよ)は海上の巨大な島でした。浦嶋子と亀姫は大きな家の門前に立つと、7人の童子(昴星)、続いて8人の童子(畢星)が出迎えて、口々に「亀姫の夫がやって来た」と言い合いました。浦嶋子は亀姫の両親に会い、盛大な饗宴が催されて、浦嶋子と亀姫は結婚しました。
三年が経ち、浦嶋子は望郷の念にかられてしまいます。亀姫は悲しみにくれますが、その別れ際に「再会を望むなら決して開けてはいけません」という玉手箱を浦嶋子に授けました。
浦嶋子が郷里(筒川村)を訪ねるとすでに300年が経っていて、人や物は移り変わり、昔の痕跡もありませんでした。約束を忘れて玉手箱を開けると、美しい何かが風雲に引かれて、大空に飛んでいきました。浦嶋子は、亀姫と再会できなくなったことを悟りました。以上が『浦嶋子伝説』のあらすじです。
宇良神社の近くには、浦嶋子が蓬山から戻って来たと伝わる小さな洞穴があります。この洞穴は「龍穴」と呼ばれています。
丹後半島の東側、若狭湾に浮かぶ「冠島・沓島」(京都府舞鶴市)は、別名を「常世島」「龍宮島」と呼ばれています。京都府宮津市の籠神社(このじんじゃ)の奥宮とされていて、天橋立の傘松公園には、冠島沓島遥拝所が設けられている神聖な島です。上古の昔、若狭湾には「海人(あま)族」(国津神)が住む凡海郷(おおしあま)と呼ばれる巨大な島があったと伝えられています。その島は、701年の「大宝地震」で海没してしまい、高い山の峰が海上に残ったのが「冠島」「沓島」であると伝えられています。近年、地元のダイバーが「冠島・沓島」付近の海底で遺跡らしき構造物を発見したと話題になりました。
浦嶋神社までのアクセス
東京から
JR東京駅からJR京都駅まで東海道新幹線で約2時間30分。
大阪から
JR新大阪駅からJR京都駅まで東海道新幹線で約15分。
JR京都駅で特急はしだて に乗り換えて、京都丹後鉄道 宮津駅あるいは天橋立駅まで約2時間。
または、JR京都駅でJR山陰本線(特急列車)に乗り換えてJR福知山駅まで約1時間30分。JR福知山駅で京都丹後鉄道宮福線に乗り換えて、京都丹後鉄道 宮津駅まで約50分。宮津駅下車、宮津駅バス停から浦嶋神社バス停まで路線バスで約95分。浦嶋神社前バス停下車、徒歩3分。
または、宮津駅で京都丹後鉄道宮豊線に乗り換えて、天橋立駅まで約6分。天橋立駅下車、天橋立駅バス停から浦嶋神社バス停まで路線バスで約75分。浦嶋神社前バス停下車、徒歩3分。