座敷童子
どうしても座敷童子に遭いたいなら東北地方の旅行がおすすめです。座敷童子に出遭える宿もあるけど、着物じゃなくて洋服姿だったら、それはただの子供の霊です。
座敷童子(ざしきわらし)は、岩手県を中心に青森県、宮城県、秋田県、山形県、福島県がある東北地方に伝わる子供の姿をした神様です。座敷(畳が敷いてある部屋、客室)や蔵に住んでいるといわれていて、家人や客人に悪戯したり、見た人は幸運が訪れたり、家に富をもたらせたりするなどの伝承が残っています。近年では、座敷童子に出遭える旅館などがあって、テレビ番組や雑誌に取り上げられて話題にもなっています。
座敷童子は、5、6歳くらいの子供の姿をしていて、髪型はおかっぱ頭やザンギリ頭、着物を着ていて、男の子も女の子もいるといわれています。
座敷童子は家人以外には見えないという話、子供には見えても大人には見えないという話が残っています。
座敷童子は悪戯好きで、部屋の中を駆け回る音を出したり、ホウキで掃くような音を出したりするといわれています。
また、客人が家に泊まった時に、布団の上にまたがったり、枕を返したりして眠らせないようにするという話も残っています。
悪戯好きという性格から、座敷童子の正体は河童という話もたくさん残っています。淵に棲む河童が近くの家に上がり込んで悪戯するのが座敷童子という話や、河童が家に棲み着いて座敷童子になったという話も残されています。
以下は、岩手県に古くから伝わる座敷童子の民話です。
むかしむかしある村で、巡礼の僧が宿を求めて長者屋敷を訪ねました。屋敷の家主はとても優しい人だったので、僧を手厚くもてなしました。
その夜、眠っていた僧が物音で目を覚ますと、布団の周りで幼い女の子たちが唄を歌いながら遊んでいました。そんな様子にすっかり心癒された僧は、遊んでいる女の子たちに思わず声をかけてしまいました。するとその瞬間、女の子たちの動きが止まってそのままどこかへ消えてしまいました。
翌朝、目を覚ました僧は昨夜の出来事は夢だったのだろうと思いました。僧は家主にお礼を言って巡礼を続けました。
それから数年経ったある日、ひさしぶりに僧は長者屋敷の近くを通りかかりました。すると屋敷から幼い女の子たちが出てきました。僧が女の子たちに「屋敷の人ですか?」と尋ねると、女の子たちは「隣村の屋敷に行きます」と言って出て行ってしまいました。
巡礼僧をもてなした長者屋敷の家主はすでに亡くなっていて、現在は欲深そうな家主に代替わりしていました。それを見た僧は、女の子たちは座敷童子だと気がつきました。
座敷童子に出ていかれた長者屋敷は、その後すぐに不幸な出来事が続いて没落していきます。一方、座敷童子が移り住んだ隣村の屋敷は栄えていきました。
記事にコメントするにはログインが必要です