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佐渡島・朱鷺

佐渡島でトキに出会える方法

2019/05/20

絶滅危惧のトキが佐渡島で出会える確率はほぼ100%!しかもトキとの距離はわずか2㎝だから、マジでトキめきました!

絶滅寸前になってしまった朱鷺(トキ)についてまとめています。

19世紀前半まで、トキは日本をはじめ、ロシア、中国、朝鮮半島など、東アジアではどこにでもいる決して珍しい鳥でありませんでした。しかし、19世紀の終わりから20世紀にかけて、いずれの生息地でも乱獲や生息環境の悪化によって激減して、20世紀後半まで絶滅または絶滅レベルまでになっています。

日本では1981年に新潟県佐渡島に生き残っていた最後の5羽のトキを捕獲して人工繁殖に踏み切りましたが、成功することができず、2003年に日本生まれの最後のトキが死んでしまいました。中国では20世紀中頃までに絶滅したと考えられていましたが、1981年に中国の内陸部で7羽のトキが見つかりました。生息地の環境保全と人工繁殖により毎年トキが増えています。

1999年に中国からトキのつがいが日本に寄贈され、人工繁殖にも成功して日本でも少しずつトキが増えています。(日本のトキと中国のトキは遺伝子的にも同じ鳥であることがわかっています)

2008年に野生復帰の第一歩として10羽のトキが佐渡島の大空へ放たれました。それから毎年放鳥は続けられています。

佐渡島(朱鷺の繁殖期)

トキはペリカン目トキ科の鳥で、全長は75㎝くらい、翼を広げると140㎝くらいあります。学名は「ニッポニア・ニッポン」。江戸時代の終わり頃(19世紀中旬)、日本に来たドイツの医師シーボルトが、トキの標本をオランダの博物館へ送りました。学名がつけられた当時は日本にしかいない鳥だと考えられていたため、「ニッポニア・ニッポン」と名づけられました。トキは漢字で朱色の鷺(サギ)と書きますがサギの仲間ではありません。全身は白色で、翼の内側や風切羽は朱色が混じった濃いピンク色をしています。日本ではその色を『鴇色』(色番号は#F5C9C6)と呼んでいます。

トキが絶滅危惧種になったのも、この鴇色の美しい羽をねらった乱獲が一因でした。また、ドジョウ、サワガニ、カエルなど、田んぼにすむ生き物が主な食べものなので、稲作で植えた苗を踏みつけるなど、昔は田んぼを荒らす害鳥として駆除されてもいました。

繁殖期(1月から6月頃)になると、首から黒い粉を分泌して身体に擦りつけて黒灰色に変化します。黒灰色のトキは繁殖可能なサインで、幼いトキや高齢のトキは繁殖期でも白色のままです。

しかし、20世紀の中頃までは、白色と黒灰色の2種類のトキがいると考えられていました。

佐渡島(トキの森公園)

佐渡島は野生のトキが最後まで生息していたところです。絶滅寸前のトキの保護と繁殖を行うために、環境省は、野生のトキ最後の地・佐渡島に「トキ保護センター」を設置しました。

トキ保護センターは一般公開されていませんが、隣接する「トキの森公園」の中にある「トキ資料展示館」と「トキふれあいプラザ」(2013年完成)の2つの施設でトキの観察ができるようになっています。

また、トキの森公園には、日本生まれの最後のトキ、名前は「キン」の顕彰碑があります。キンの推定年齢は36歳(人間の年齢で100歳)。とても長生きでした。

佐渡島(トキ資料展示館)

「トキ資料展示館」では、トキの生態や歴史、保護活動の取り組みをパネルや映像資料などから学ぶことができます。トキのはく製や骨格標本も展示されています。

佐渡島(トキ保護センター)

展示資料館の観察通路から、「トキ保護センター」で飼育されているトキを観察することができます。トキ保護センターは、トキの飼育や繁殖を行っている施設です。トキは臆病で警戒心の強い鳥なので、ゲージから離れたところから観察するようになっています。

佐渡島(トキふれあいプラザ)

「トキふれあいプラザ」は、大きなゲージの中で自然に近い環境を再現して、トキの飛翔や採餌の様子、巣作りなどの生態をマジックミラー越しで観察することができる、トキの森公園の中でもっとも人気のある施設です。

今までは資料展示館の観察通路やライブカメラでしかトキの観察ができなかったのですが、トキふれあいプラザが完成してからは、トキまで2㎝という距離感で、池のドジョウを必死に捕まえようとする様子や、繁殖期には営巣や抱卵、子育ての様子なども観察できるようになりました。

佐渡島(朱鷺放鳥)

2008年からトキの放鳥が毎年行われています。トキ保護センターで飼育された中から選抜された個体が「野性復帰ステーション」へ移され、順化訓練した後に放鳥が行なわれます。これまでに446羽のトキを放鳥しました。(2023年2月現在)

放鳥したトキの中には猛禽類に襲われたり、病気になったり、厳しい自然環境で死んでしまうものもいます。2016年、野生下で生まれたトキのペアにヒナ(放鳥したトキの孫世代)が誕生しました。この「純野生」のヒナ誕生は40年ぶりということで話題になりました。現在、放鳥したトキと野生下で生まれたトキをあわせると推定569羽(野生生まれのトキの数は推定412羽)のトキが佐渡島を中心に生息しているようです。(2023年2月現在)

「せっかく佐渡島に来たのだから野生のトキが見たい!」という人は、トキの森公園周辺の田んぼで見かけることが多く、エサを食べている時が一番見つけやすいようです。繁殖期の1月~6月のトキは黒灰色しています。稲刈り後の9月~12月のトキは白色しているのでわかりやすいです。

野生のトキを観察する時は、“トキに近づかない”“車から降りない”“大きな音や光を出さない”などのルールがあります。注意して観察しましょう。

 

この記事を書いた人

どもども

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