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天上山のカチカチ山伝説のイラスト

天上山(『カチカチ山』)

2021/07/18

山梨県の天上山には16歳少女と37歳中年男が織り成すもう一つの『カチカチ山』の話がある

民話『カチカチ山』は、室町時代末期(16世紀後半)から語り継がれている昔話です。その舞台は、山梨県富士河口湖町にある「天上山」と言われています。民話『カチカチ山』は、殺されたおばあさんの仇を討つために、ウサギがおじいさんに代わって性悪なタヌキを成敗するという内容ですが、太宰治の短編小説集『御伽草子』(1945年刊行)の「カチカチ山」編の中では、ウサギは16歳の潔癖で無邪気なあまりに冷酷に他人を傷つけてしまう少女として描かれ、タヌキはウサギに恋心を抱くあまり、何をされてもウサギに従い続ける醜く愚かな37歳の中年男として描かれています。

天上山には「天上山公園」が整備されていて、民話の一場面をあらわしたウサギとタヌキのモニュメントがところどころに設置されています。

天上山のあじさいハイキングコースのイラスト

天上山(標高1104m)にはハイキングコースが整備されています。7月中旬から8月上旬にかけて約10万本の紫陽花が一面に咲き誇るので、「あじさいハイキングコース」と呼ばれています。

天上山のカチカチ山ロープウェイのイラスト

河口湖の湖畔と天上山の山頂を結ぶロープウェイを利用して上り、山頂から「ハイキングコース」を下りながら景色を楽しむのがおすすめです。

天上山(天上の鐘)のイラスト

ハート型の鐘が設置されていて、富士山を眺めながら鐘を鳴らすと恋愛が成就すると言われています。

天上山・太宰治の碑のイラスト

「央平(ナカバダイラ)展望広場」は富士山の眺望ポイントとなっていて、太宰治の碑も設置されています。

以下は『カチカチ山』(原話)のあらすじです。(子供に読み聞かせるには残酷すぎです)

昔話「カチカチ山」(性悪なタヌキとお爺さんのイラスト)

昔、畑を耕しながら暮らしているおじいさんとおばあさんがいました。おじいさんは畑で種蒔きをしますが、いつまでたっても芽が出ないので不思議に思っていました。ある時、タヌキの仕業であることが分かりました。おじいさんはタヌキを捕まえて家に持ち帰り、おばあさんに「タヌキ汁にして食べよう」と言って、おじいさんは畑に戻りました。

昔話「カチカチ山」(タヌキ汁の準備をするお婆さんのイラスト)

おばあさんはタヌキ汁を作る準備を始めました。タヌキはおばあさんに言いました。

「私は悪いタヌキです。食べられても仕方がありません。でも、タヌキ汁を一人で作るのは大変でしょう。手伝ってあげます。おじいさんが帰って来るまでにもう一度縄で縛られます」

優しいおばあさんはタヌキの言うとおりに縄をほどいてあげると、タヌキはおばあさんを杵で撲殺しました。そして、皮を剥いで肉を鍋に入れてババァ汁を作りました。タヌキは、おばあさんに化けて、おじいさんが帰るのを待ちました。

昔話「カチカチ山」(ババア汁を食べるお爺さんのイラスト)

おばあさんに化けたタヌキは、畑から帰って来たおじいさんにタヌキ汁と騙してババァ汁を食べさせ、嘲り笑って山に帰りました。おじいさんはショックのあまり寝込んでしまいました。

昔話「カチカチ山」(タヌキとウサギが芝刈りに行くイラスト)

その話を聞いたウサギは仕返しすることを決意します。ウサギはタヌキを柴刈りに誘いました。ウサギはタヌキの後ろを歩き、タヌキの背負った柴に火打ち石で火を付けました。「カチカチ」という音を不思議に思ったタヌキはウサギに尋ねました。ウサギは「カチカチ山のカチカチ鳥が鳴いている」と答えました。タヌキは背中に大ヤケドを負いました。

昔話「カチカチ山」(ウサギがタヌキの火傷に唐辛子味噌を塗るイラスト)

ウサギは大ヤケドを負ったタヌキに、良く効く薬と言って唐辛子入りの味噌を背中に塗ってあげました。唐辛子入りの味噌を塗ったタヌキはさらに痛みに苦しみました。

昔話「カチカチ山」(泥舟に乗って溺れているタヌキのイラスト)

数日後、ウサギは小さな木舟と大きな泥舟を用意してタヌキを魚捕りに誘いました。ウサギは大きな泥舟の方がたくさんの魚が捕れると言ってタヌキに泥舟を選ばせました。しばらくすると泥舟はタヌキを乗せたまま沈んでしまい、タヌキは溺死しました。

 

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どもども

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