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ホタルイカの身投げのイラスト

富山湾の春の風物詩「ホタルイカの身投げ」。行けばいつでもホタルイカが見られる!と思っていると期待とのギャップにガッカリするので、迷わないで「ほたるいかミュージアム」に行ってみてほしい。

2022/07/13

 

毎年3月から5月頃、富山県滑川市を中心に富山市から魚津市にかけて富山湾の沿岸では、波にまかせて、青白く光りながら、大量のホタルイカが打ち寄せてきます。この光景は「ホタルイカの群游海面」と呼ばれていて、ホタルイカの群游海面は、国の特別天然記念物にも指定されています。ちなみに、ホタルイカそのものは天然記念物ではないので、ホタルイカを獲ったり、食べたりしても大丈夫です。

ホタルイカの生活域(ホタルイカの分布水深の解説図)

ホタルイカは、回遊性の一年魚で、刺激を与えると全身が青白く発光する重さ10g、オスは4cm~5cm、メスは5cm~7cmの小さなイカです。ふだんは水深200m~300mの深海に生息していますが、夜間時は餌を求めて水深30m~100m付近まで浮上します。富山湾には産卵の時期である3月から5月頃にかけて集団でやって来ます。

ホタルイカの名前の由来(松とホタルイカのイラスト)

昔、富山ではホタルイカを松の肥料として使っていたので「マツイカ」と呼んでいました。その名前が「ホタルイカ」になったのは、1905年、ホタルの生態を研究していた東京大学教授の渡瀬庄三郎博士が、「ホタルのように発光するイカ」として名付けられてからです。

ホタルイカが発光する理由(ホタルイカの威嚇とカモフラージュの解説図)

ホタルイカは、発光物質(ルシフェリン)と発光酵素(ルシフェラーゼ)が化学反応して発光します。この光は熱をもたないので「冷光」と呼ばれています。これはホタルが発光する仕組みとほぼ同じです。ホタルイカには、皮膚全体と腕、眼の周りにそれぞれ発光器があり、それぞれ役割が違いますが、ホタルイカが発光する理由は、主に二つあって、外敵と接触した時に二本の腕(第四腕)の先端部分を強く発光させて威嚇することと、深海で遊泳している時のホタルイカは茶色ですが、海面近くに浮上する時、海にさしこむ光によって自身の影が浮かび上がるので、下から外敵に狙われないように腹側を発光させてカモフラージュすることです。(腹側には約1000個の発光器がありますが、背側には発光器がほとんどありません)

ホタルイカの生息域(ホタルイカの日本海回遊説の解説図)

ホタルイカは、日本近海に広く分布していますが、主に日本海の山陰沖から秋田沖の海域に多く生息しています。一説では、山陰沖がホタルイカの産卵場所と考えられていて、春先にふ化したホタルイカは対馬暖流に乗って北上し、能登沖から秋田沖にかけて成体となり、成体になったホタルイカは翌春、山陰沖まで南下して産卵すると考えられています。この南下時に、本流から分かれたホタルイカが富山湾に入ってくると考えられていますが、大量にホタルイカが押し寄せてくる光景(群游海面)が見られるのは世界的にみても富山湾だけです。ちなみに、ホタルイカの産卵は、富山湾の水深200m程度から沿岸まで浮上してきて夜間に行われます。浮上してくるホタルイカの殆どがメスです。オスは深海で交接した後、一生を終えます。(ホタルイカの交接は11月から2月頃です)

富山湾の神秘として有名なホタルイカですが、ホタルイカの漁獲量は、実は富山県よりも兵庫県の方が多いのです。これはホタルイカ漁の漁法の違いによるもので、富山県は、産卵のために富山湾に浮上してくるホタルイカを定置網で漁獲するのに対して、兵庫県では、水深200m程度を回遊しているホタルイカを底曳網で漁獲しているからです。富山県で水揚げされるホタルイカは、産卵のために栄養を蓄え、丸々と太ったメスだけなので、市場では高く取引されます。

ホタルイカの身投げの条件(ホタルイカと新月大潮の関係)

ホタルイカの身投げの条件(ホタルイカと湧昇流のしくみ)

海岸に打ち上げられてしまったホタルイカのことを「ホタルイカの身投げ」と呼んでいます。「ホタルイカの身投げ」は、3月から5月頃の富山湾であれば、いつでも簡単に見られるという訳ではないです。地元の人たちなどの話によれば、

・新月とその前後2日間、深夜から未明にかけて満潮

・波が穏やかで、陸風(富山湾の場合は、南寄りの風)が吹く*

などの条件によって、波打ち際に大量のホタルイカが打ち上げられる可能性があるようです。

*陸風が吹くと、富山湾内に湧昇流が発生して深層水が表層近くに沸き上がり、深海の生物も一緒に浮上する

ホタルイカの身投げ ホタルイカ掬い

ちなみに、海岸に打ち上げられてしまったホタルイカは、砂を噛んでいるので食用には適していません。食用する場合は、海岸に打ち上げられる前の海面に漂っているホタルイカをタモ網などで掬って獲ります。

ほたるいかミュージアム ホタルイカの発光ショー

滑川市の「ほたるいかミュージアム」は、ホタルイカをテーマにした博物館で、建物はホタルイカの胴体の形をしています。3月中旬から5月下旬、ホタルイカ漁のシーズン期間では、生きたホタルイカの発光ショーが行われ、素手で直接ホタルイカにさわることもできます。(オフシーズンはライブシアターによる鑑賞です)

ほたるいか海上観光(滑川漁港)のイラスト

毎年4月中旬から5月上旬にかけて「ほたるいか海上観光」が開催されます。滑川漁港から観光船が夜明け前に出船して、漁場でホタルイカ漁やホタルイカの発光の様子を見学することができます。

 

この記事を書いた人

どもども

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